秩父市・水止栓の分類

秩父市に残る骨董水止栓に版の異なる蓋が存在することが分かりましたので記事にする次第です。

骨董水止栓は幾つか種類があるのですが、今回お届けする蓋は右側に蝶番が有ってパテントナンバーの表記がある蓋と丸蓋です。

まずは蝶番付きの蓋から。

紋章は現在の秩父市章とは違い、「日本水道史」の秩父町上水道の項に掲載されている紋章と同じです。ただし、同書に掲載されている紋章と蓋に付いている紋章とでは上下が逆になっています。また、この紋章が秩父町章なのか水道章なのかは不明です。
紋章を取り囲むように記されているのはP.T.No(パテントナンバー)121918とあるようです。
実際にこの番号を調査された蓋散歩びとさんの記事(「日本水道史」に出てくる紋章の水道蓋~その4~秩父町)によれば、『昭和3年出願広告の実用新案』とのことです。
この表記の存在により蓋の出現時期がある程度推測が出来そうです。
最下段には右書きで「水止栓」とあります。今日見られる同じ用途の蓋には左書きで「止水栓」と有るのが普通です。古い蓋に見られる「水止栓」が「止水栓」に置き換わった時期を調査する資料としても有力な手掛かりとなりそうです。

今回の探索により、この蓋に版の異なるものが存在することが分かりました。

一見しただけでは同じに見えます。
説明上、先に載せた蓋を【a】、こちらを【b】とします。

比べて見ると良く分かると思います(左側【a】、右側【b】)。

【a】に比べて【b】は「P.T.No」と「数字」の間の空間に「止」の文字が付き上がっているように見えます。紋章もやや下がっているようにも見えます。
また「水止栓」の文字全体も「P.T.No」に接近しているように見えます。

探索した範囲では両者の残存数はほぼ同じでした。

次に丸蓋です。

やはり古い紋章が付いていて右読みで「水止栓」です。
この蓋の多くは左側に開閉のためのコジリ穴が付いています。

今回の探索で新たに右側にコジリ穴が存在する蓋を見付けることが出来ました・
これまでの探索分と合わせて見ると圧倒的に左側にコジリ穴が存在する蓋が多いですね。
しかし右側の蓋も複数枚見つかったことから、今後の探索結果に期待したいところです。

(2019-05-01 初稿)