2019 長島鋳物工場見学記

長島鋳物(株)久喜事業所に於いて鋳物工場見学会が開催されました。
これは第1回ワールドマンホールフェスティバル(WMF)併催企画の一環として行われたものです。
個人的にはこの工場での見学は3回目。
前2回は工場改修前なので、今回は改修によりどの様に変わったのか興味が有りました。
ごく簡単に工場見学記にまとめてみたいと思います。

工場の敷地に入ると最初に目に入ったのはずらりと並ぶデザイン蓋の数々でした。

ずらりと並ぶデザイン蓋

蓋の多くはこれまでの展示会などのイベントでお馴染みとなった蓋でしたが、晴天の下で撮影できたのは初めてでした。
展示会などでは室内灯の下なので発色も今一つ。
それが晴天の下ではまるで別物の様に輝いて見えました。
それでは展示蓋の中から幾つか見てみましょう。

2019ラグビーワールドカップ東京大会を記念した蓋。
展示蓋としては初めて目にしました。
東京・調布市の路上に設置されています。
製造数は50枚の限定品だそうです。

茨城県大洗町のデザイン蓋。
まだ路上での現物を見たことがないのですが、お気に入りの一枚です。

神奈川県相模湖町のデザイン蓋。
町の花、木、鳥が上手く組み込まれた逸品だと思います。
相模湖町は相模原市に編入されてしまい、今後新しい蓋にお目にかかれないのが残念でなりません。

埼玉県ふじみ野市のふじみ野市観光協会マスコットキャラクター「ふじみん」を中心に描いたデザイン蓋。
この蓋、上半分には旧大井町の町の花であった「キキョウ」と下半分には旧上福岡市の市の花であった「コスモス」が描かれていますが、描き方が異なっています。
コスモスの方は枠取りされた中に塗料を入れていますが、キキョウの方は直接描いています。
元々はキキョウは描く予定では無かったが、サンプルとして市に提出した蓋にキキョウを入れたところ市側が気に入ってこれが採用されたとのこと。

シール蓋。
既存の蓋の上にシールを貼ることで蓋の寿命を延ばすことができる。
デザインはねぷた祭り風なので青森県周辺の自治体蓋だろうか。
展示品としてはお初にお目に掛かりました。

北海道北広島市のシール蓋。
これも展示会などでも見掛けない蓋ですね。

続いて、会議室へ。
ここでは工場内での注意事項などの説明を受けました。
基本的に撮影はOKですが、ネットへの投稿は不可。
ただし、「ふじみん」だけは自治体側から積極的にPRしてほしいとの依頼があったようで、本記事中にも複数回出てきます。
会議室の壁際には蓋の原本と言うべき木版がずらりと並べてありました。
見学会の申し込みの際にリクエストをした旧茨城県総和町の蓋(中央にカボチャが描かれている集排蓋)も展示されていて感謝感激です。
しかし残念なことに自治体側からの許可が下りなかったようで写真をネットへ投稿することは不可。
デザイン蓋で唯一許可が下りたのは「ふじみん」だけでした。

「ふじみん」の木版。
これは無彩色用の木版のようですね。
カラー用はキキョウの部分がのっぺりしているのだと思う。
右下の部分に用途を記したパーツを入れる。

「ふじみん」の用途欄用のパーツの一例。
用途欄へパーツを入れ替えることで複数用途の蓋に対応出来るわけだ。

長島鋳物オリジナルデザインの木版。
丸い部分と上下の四角い部分にパーツを入れることで複数の用途及び複数の自治体などに対応出来る。
上段の四角いパーツは下段には入らない工夫がされている。
用途のパーツが必要ないときは地紋用のパーツを入れる(上の四角の様に)。
ここで重要な情報を入手!
用途欄が有る場合は必ず何かしらの文字が入っている。
枠だけで空欄の製品は工場出荷時には有り得ない。
路上では時々空欄になっている蓋を見掛けるが、これは施工者(或いは自治体)などが削り取っているものだということ。言わば虐待蓋というわけだ。
また、このデザインは「イチョウ」と呼ばれているらしい。
確かにイチョウの葉にも見える。
個人的には今まではテトラポット地紋の一種として分類してきたが、見直しが必要かもしれない。

これら以外にも東京市型や平行四辺形地紋などの木版も展示されていました。

続いて、工場へ。

工場入口付近には未完成品がありました。

木版から作られた砂型の砂がまだ付着したままの蓋。
この後、砂を落としたりバリを削り取ったりと工程を経て製品になる。

工場改修前の様子。
所狭しとニコちゃん(私が勝手に名付けました)が置かれています。
この一つ一つに溶かした鉄を注入して製品が出来るわけです。
改修前の注入風景。

改修前の一コマ。
砂型を作る工程です。
上の方から砂がどどどーと音を立てて木版へ落ちていくのが面白かった。
お気に入りの工程でしたね。
改修後はこれらの風景が一変。
あんなにたくさん有ったニコちゃんが姿を消し、注入作業や砂型を作る工程も自動化されていました。
安全性の向上と引き替えに見た目のダイナミックさは減少してしまったのが残念なところです。

工場内ではたくさんの工程がありたくさんの撮影をしましたが、ネットへの投稿は不可のため涙をのんで割愛します。

午前中の見学を終え、昼食タイムです。\(^O^)/

工場の方々と同じ昼食を頂くことが出来ました。
これで400円です。(安い!)

午後も見学は続きます。
蓋や受枠の研磨工程などは従来と変わらない部分も有りました。
午後の見所はやはり塗装工程でしょう。
色取り取りのカラー蓋がたくさん並んでいました。
あの有名な沼津のカラー蓋のミニチュアサイズの蓋も塗装中でした(写真を撮ったけど載せられないのが惜しい)。
塗装中の「ふじみん」もありました。
塗装を行う職人さんの見事さ。
全然はみ出したりしないんです。
ずーと見ていたいですよ。

工場の敷地内には他では見ることの出来ない蓋(サンプルや失敗作?)などもあちらこちらに見ることが出来ました。

工場関係者の皆様にはご多忙中にも拘わらず、見学者のために時間を割いて頂きました。
改めてお礼を申し上げます、ありがとうございました。

記事中の工場内の写真については許可を頂いて載せています。

(2019-05-14 初稿)